シンギュラリティ教徒への論駁の書

“Anyone who believes that exponential growth can go on forever in a finite world is either a madman or an economist.” - Kenneth Boulding

2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

シンギュラリティは雪男である

私のシンギュラリティ懐疑論の立場は、「シンギュラリティは来ない」ではなく「シンギュラリティが来るという根拠がない」というものです。 私のこの立場については、これまでも何度か説明してきているのですが、再度整理しておきたいと思います。*1 「人間…

論文紹介:『もしとならば: ナノ倫理思考実験批判』(アルフレッド・ノルドマン)

近年の「人工知能」を取り巻く言説の興味深い点としては、テクノロジー自体やその開発の見通しよりも、テクノロジーの発展に伴う社会的・倫理的影響のほうに大きな注目と関心が集まることが挙げられます。このような、テクノロジーがもたらす影響についての…

翻訳:約束の経済

以下の文章は、イギリス、シェフィールド大学天文物理学科教授であり、ナノテクノロジーを専門とするリチャード・ジョーンズ教授が2008年に公表した文章 "Economy of Promises" の翻訳です。 なお、編集された版がNature Nanotechnology誌のサイトに掲載され…

ハイプとハイプ・サイクル

残念なことに、強調と過剰な熱意と誇張の間には違いがある。ハイプは文字通りに理解するためのものではない。 デイヴィッド・M・ベルーベ著『ナノ・ハイプ狂騒』(上巻 p.32) 新たなテクノロジーの黎明期に、「ハイプ」--過大評価と誇大広告-- が見られるとい…